同軸コネクタとは?

1、同軸コネクタとは?

同軸コネクタとは同軸ケーブルと装置を繋げるための部品です。主に高周波信号を低損失で送受信する際に活躍します。

コネクタの形状は国際規格で決まっているため、同種のコネクタであればメーカー違いでも使用可能です。但し国際規格が複数あることと、規格ごとに寸法公差が異なっているケースがあるため注意が必要です。

また同軸コネクタは性能劣化に対する配慮が不可欠な精密部品になります。特にマイクロ波、ミリ波以上で使用する同軸コネクタは伝送線路を構成する基本的な部品でありマイクロ波計測の重要なツールです。寸法公差をぎりぎりまで少なくし、高周波特性を良くするために様々な工夫がなされています。ケーブル加工の仕方によっても性能が著しく変わります。

精密部品であることの認識をしっかりと持ち、切削工場、メッキ工場、ケーブル加工工場、取扱者、取り扱いに関して十分な理解が必要です。

2、同軸コネクタの紹介と変遷

M型コネクタ
UHFコネクタとも呼ばれています。ネジ部分がミリピッチのタイプをM型コネクタと呼びます。1930年頃にシールドされたバナナプラグに基づいて開発されました。主に無線通信・計測機器に古くから使われており、多くの製品は特性インピーダンスが規定されていないため安価であり、VHF帯以下の周波数で用いられます。パーソナル無線用としてインピーダンスが50Ωのものもあります。自動車用アンテナの基台にも多く用いられています。ハムショップ(アマチュア無線機販売店)などでは、フォネティック・コードを用いてマイク (Mike) コネクタと呼ぶことがあります(マイクロフォン用コネクタとの混同に注意 こちらは「マイクプラグ」「―ジャック」と呼ばれる)。300MHz以上の伝送には不向きです。ただし、コストと性能のバランスからアマチュア無線では、DC~430MHzまで多用されています。1930年頃に開発されました。(UHFコネクタ)。
N型コネクタ
N 型コネクタの名前の由来はTYPE-NAVYコネクタと一般的には言われていますが実は、“N”の由来はこのコネクタを開発したエンジニアの一人米ベル研究所のポール・ネイル(Paul Neill)のイニシャルをとって付けられたものでした。主に無線通信・計測機器に用いられているコネクタです。周波数特性が良く、主にUHF帯に用いられています。ハムショップなどでは、フォネティック・コードを用いてナンシー (Nancy) コネクタと呼ぶことがある。特性インピーダンスが50Ωのものが標準であるが、75Ωの物もあります。NTT仕様のものはS型コネクタと呼ばれていますがコンタクトの長さの問題で汎用品のN型コネクタとは互換性はありません。基地局用途などにトルクレンチでの締結を可能にしたものもあります。軍事的な用途を想定して1GHzまでの電気信号を伝送することができるように当初設計されました。現在は、適用周波数上限は製品により異なるがDC~18GHz(通常4GHz程度)までを想定しています。 1940年頃に開発されました。
BNCコネクタ
Bayonet Neill Concelmanの略(Bayonet とは銃剣のこと。Neill Concelmanというのは、コネクタの製造メーカーの名称なのですが、実は単にBayoNet Connectorの略であるとか、Baby-series N Connector ・British National Connectorの略であるとか、名前の由来についてはいくつかの説があるようです)。周波数特性が比較的良く(1500MHz)小型にできるため計測用、通信用、映像信号用電算機、事務機、通信機器(端末、移動体)、計測機器、AV機器、家電、FA機器などに最も多く使われています。ネジを使わず、一挙動で簡単にロックできる機構(バヨネットタイプ)を持つため着脱が容易にできます。特性インピーダンスは50Ω、75Ωの物があります。適用周波数上限は製品により異なりますが現在では50Ω帯においてDC~4GHzまでを想定しています。 1945年頃に開発されました。
F型コネクタ
F 型コネクタの名前の由来はFMラジオ・UHF帯などに用いるF(Frequency)を取ったのではないかと推測しています。F型コネクタは安価であり75Ωのインピーダンス整合を持ち最高1GHzまでの使用可能な帯域幅を持ちます。
低価格のひとつの理由はオスのコネクタのピンとして同軸ケーブルの中心導体をそのまま使用可能なためです。このデザインにより、コネクタの特性は内部導体の表面状態に左右され、また耐腐食性がないため、屋外(たとえばアンテナ上)で使用するためには防水バージョンが必要です。オスのコネクタは外部導体(編組線)を剥き出したケーブルに押し込むか、時にはねじ止めすることでケーブルに接続されます。家庭用の地上波、ケーブルテレビ、および衛星放送などのテレビ設備などに多く用いられます。ネジ式のものとそうでないものが存在し、ネジ式のものをF型コネクタ、そうでないものをストレートプラグ・クイックプラグなどと区別する場合があります。1950年頃に開発されました。
TNCコネクタ
TNC のT は、“TWIST“のことです。BNCコネクタのロック機構をネジ式にしたもののため振動に強くなっています。BNCコネクタとTNCコネクタは絶縁体、中心コンタクトの形状は基本的に同じです。
N型コネクタよりも小型で、SMAコネクタよりも取り扱いが容易であるため、自動車電話用無線機のアンテナ、自動車電装、列車制御、通信機器(幹線)、交通信号制御、電力、燃焼制御、防火・防犯装置、防災機器、等接続などに用いられています。 特性インピーダンスが50Ωのものが標準であるが75Ωの物もあります。適用周波数上限は製品により異なりますが現在では50Ω帯においてDC~4GHzまでを想定しています。1950年代後半に開発されました。
SMAコネクタ
「Sub Miniature Type A」の略称です。主にマイクロ波の無線通信機器に古くから使われているコネクタです。特性インピーダンスが50Ωのものが標準です。適用周波数上限は製品により異なりますが~27GHzまでを想定しています。締結には専用のトルクレンチが用いられます。接続の安定性および高周波性能を重視した高信頼構造です。主な用途は移動体通信基地局、小型通信機器、精密計測機器等です。1960年代に開発されました。
SMBコネクタ
「Sub Miniature Type B」の略称です。主に基板上など機内に使われているコネクタ。特性インピーダンスが50Ωのものが標準ですが75Ωの物もあります。ねじではなく押し込むことによりロックされるスナップオン機構をもちます。主な用途は自動車電話、各種通信機器、電子計測機器等です。1960年代に開発されました。
Kコネクタ(SMK 2.92mmコネクタ)
Kという名称は、K帯というところからきています。米国Wiltron社(現在Anritsu社)が開発したコネクタで、APC3.5と同様にSMA型コネクタとの接続互換性を保ちながら、外径がさらに小さくなっています。Kコネクタは、内導体径がSMAと同じ1.27mmとなっており、絶縁体をテフロンから空気に変更することにより、外形が2.92mmとなっています。これにより導波管モード遮断周波数をさらに高くすることができ、使用周波数DC~40GHzを実現しています。メーカーによっては2.92mmコネクタなどという名称が付いていたりします。主に測定機に使用されています。1982年代に開発されました。
APC3.5コネクタ(3.5mmコネクタ)
APCは( AMPHENOL PRECISION CONNECTOR3.5 )が由来です。SMAと同形状の外部導体 3.5mm マイクロ波コネクタです。使用周波数DC~34GHzを実現しています。メーカーによっては3.5mmコネクタなどという名称が付いていたりします。主に測定機に使用されています。1970年代に開発、1980年代に確立されたコネクタです。3.5mm コネクタは、外部導体壁面が厚いため 3000 回以上の着脱が可能です。また、SMA及び2.92mm コネクタと接続が可能です。伝送路のサイズが異なるため接続面で反射が起こります。SMAコネクタとの接合で、SMAの加工精度が悪く、特に3.5mm メス・コネクタの性能を劣化させる原因になります。
MCXコネクタ
MCX( マイクロ同軸 )コネクタは、SMBコネクタよりも30%小さくなります。 ヨーロッパCECC 22220に規格化されています。スナップオン形式のコネクタです。特性インピーダンスが50Ωのものが標準ですが75Ωの物もあります。DC 〜6 GHzでの性能を有しています 。接触面は金メッキです。情報通信システム、携帯電話など多様な用途で使用されています1980年代に開発されました。
MMCXコネクタ
MMCX( マイクロミニチュア同軸 )コネクタは、 MCXよりも小さいコネクタです。ヨーロッパのCECC 22 000仕様に準拠しています。 コネクタはスナップオン機構で360度回転が可能です。基本的な特性インピーダンスは50Ω(75Ωもあります) DC 〜6 GHzでの性能を有しています。MMCXコネクタは一般的にWi - Fiの PCMCIAのアンテナコネクタや外部接続用コネクタとしてカード読み取り機器、やPDAなどの小型デバイスのアンテナ受信機などに利用されます。1990年代に開発されました。

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